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パンはなぜふくらむの?-酵母の発酵パワーに注目!-

8月7日と8日、小学5・6年生の親子を対象にした講座「東京聖栄大学連携講座2024 食品の科学シリーズ 食品が変化する不思議!―体験・観察して確かめよう―」を開催しました。
今回は、第2回「パンはなぜふくらむの?」の講座の様子をご紹介します。講師は、東京聖栄大学健康栄養学部食品学科の山本 直子先生です。

普段食べているパン。家でパン作りをしたことのある方なら、生地は初めは小さいけれど、ねかせると大きくふくらむことをご存じだと思います。
ではなぜパン生地はふくらむのか?今回は、実際にパン作りをしながらその理由を科学的に学びます。


酵母は生き物

パン作りに使うイーストは、「酵母」という小さな小さな微生物の集まりです。酵母が、パン生地の中の糖を食べると、二酸化炭素(炭酸ガス)を出し、これによってパン生地が膨らみます。
さらに、酵母の種類によっても膨らみ方や風味に違いが出るとのことで、今回は2種類の酵母を使ってパン作りに挑戦しました。

参加者の皆さんは、先生があらかじめ途中まで用意した生地を同じ大きさに分けて丸めていきます。違いを観察するので、同じ重さに切り分ける必要があります。
そして、それを35℃で40分間発酵させると…

まあるくきれいな形にふくらみました。上の写真は、両端がドライイーストで作った生地で、真ん中の4つが天然酵母の生地です。横から見ると、高さの違いがよく分かります。
ちなみに、これは膨らみが大きい方が良いというわけではなく、どのようなパンをつくりたいかによって使い分ければ良いそうです。

発酵が終わったら、パンをオーブンで焼いていきます。200℃で12分焼くと、どのグループもこんがりきつね色のパンが焼きあがりました。部屋にパンのいい香りが立ち込め、子どもたちからも歓声が上がります。

酵母のパワーで風船をふくらませてみる

パンを発酵させたり焼いたりする待ち時間に、酵母の働きを証明する実験も行いました。
フラスコに3種類の酵母と栄養分を入れ、口に風船を付けます。それを32℃のお湯につけて、風船の変化を観察するのです。
風船をふくらませるのは結構力がいる作業ですが、結果はどうなるでしょうか。

しばらくすると、一つ、もう一つと風船がふくらみ始めました。すごいパワーですね。

ちなみに、この実験は、ペットボトルを使えば家でもできるそうです。500mlペットボトルの中に砂糖水を100ml作り、酵母を5g入れて風船を付ければ、家でも同じ実験ができるとのことです。さらに、タンパク質として小麦粉を小さじ2程加えると酵母がもっと喜ぶとのこと。条件を変えて試してみるとおもしろい自由研究になりそうです。

さいごは試食

親子で「私はこっちの方が好き」などと話しながら、最期は自分たちで焼いたパンを試食しました。
保護者の方からも、「子どもが興味を持ちやすいように説明して下さり、子どももすごく楽しんでいた。」「 酵母の働きを考えた事がなかったので、実験が楽しかったです!」と好評でした。

次回の第3回は、「野菜の色を利用してみよう」ということでタマネギの皮で草木染めを行います。

(文 森川)