見出し画像

ジュースを透明にしてみよう-リンゴジュースが大変身-

8月7日と8日、小学5・6年生の親子を対象にした講座「東京聖栄大学連携講座2024 食品の科学シリーズ 食品が変化する不思議!―体験・観察して確かめよう―」を開催しました。
この講座は、令和4年度から始まった「調理・食品の科学シリーズ」で、今年で3年目となります。

講座の発案者であり、毎年コーディネーターをしていただいているのは、東京聖栄大学健康栄養学部食品学科の福留 奈美先生。
2日間にわたり、4種類のテーマで東京聖栄大学の先生方が食品の科学について楽しく教えてくださいます。
今回は、第1回「ジュースを透明にしてみよう」の講座の様子をご紹介します。講師は、同じく食品学科の北村 義明先生です。


にごりの正体は?

まずは、その違いを知るために、二つのジュースを実際に飲み比べしてみました。
にごりの正体は、リンゴの破片で、それに光があたってにごってみえるそうです。確かに、にごっている方がより果物そのものの風味がして、透明なほうがすっきりした味わいです。先生が子どもたちにどちらが好きか聞いていましたが、好みは半々でした。

沈殿とろ過

リンゴジュースを透明にするには、リンゴの破片を沈殿させ、ろ過する必要があります。しかし、そのままでは沈殿しないので、沈殿しやすくするために色々なものを混ぜたりします。

まずは、実際のジュース工場でやられている方法。薄めたペクチナーゼというこう素液を一てき入れて、50 ℃の水そうで1時間ほどあたためると、リンゴの破片が沈んできます。
リンゴに含まれるペクチンという成分は破片が沈むのをじゃましますが、このこう素がペクチンを分解して、破片が沈殿しやすくなるそうです。

もう一つは、「キレーサ」という浄水剤(災害時等に川の水を飲めるようにする製品)を混ぜました。そうすると、リンゴの破片がからまってつぶが大きくなり、沈殿しやすくなるそうです。
そしてこの「キレーサ」は、納豆のおねばを使ったものらしく、今度は納豆をリンゴジュースに加えるという実験もしました。

納豆を入れてかき混ぜ、おねばを溶かします。その後、茶こしで納豆を取り除き、静かに待ちます。

キレーサや納豆などを混ぜたジュースは、時間がたつとだんだん上の方が透明になってきます。そして、最後にそれをろ過します。

普段身近なジュースが目の前で変化する様子を、子どもたちはとても真剣に観察していました。試験管や漏斗といった実験道具を使うこと自体も楽しいですし、自分たちですべての手順を体験できる、というのもとても貴重な経験ですね。

保護者の方からも、「大人になり、なかなか授業を受けることがないので勉強になりました。」「専門的な知識や単語も使っていただき、子どもも興味を持つきっかけができてよかったです。」といった感想が寄せられました。

第二回のテーマは「パンはなぜふくらむの?」ということで、酵母に注目した講座です。

(文 森川)