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フレイル予防の食生活~おいしい貯筋でハッピー長寿~

 令和6年6月29日(土)、東京聖栄大学と共催で、健康栄養講座「フレイル予防の食生活~おいしい貯筋でハッピー長寿~」を開催しました。
 「フレイル」とは?「貯筋」とは?
 講座の様子とともに、少しご紹介したいと思います。


「フレイル」知ってますか?

 

佐藤ひろ子准教授(東京聖栄大学 健康栄養学部 管理栄養学科)

 講師は佐藤ひろ子准教授。長年保健所で栄養指導をされ、現在は東京聖栄大学で公衆栄養学を教え、高齢者のフレイル予防の研究をされています。
 さて、いきなり出てきましたが、この講座のキーワード「フレイル」ってご存じですか?

 「フレイル」とは、健康な状態と要介護の状態の中間。
 病気ではないけれど、年齢とともに筋力や心身の活力が低下している虚弱状態のことです。

 まだピンと来ないあなた、もしかしたら他人事ではないかもしれません。
 「体重が減ってきた」
 「歩くのが遅くなった」
 「わけもなくだるい」
 「握力が弱くなった」
 「運動習慣がない」
 …もしもこの中で3つ以上当てはまるものがあれば、あなたはフレイルの可能性が。1~2当てはまるものがあれば、フレイルの前段階かもしれません。

 講演では、さまざまな統計から、フレイル対策の重要性についてお話がありました。
 2020年現在、全国で、要介護等の状態でない高齢者約3000万人のうち、なんと半数弱がフレイルまたはその前段階の可能性があるそうです。
 だから、フレイルにならない対策や、なっても状態を改善するための取り組みを通して健康寿命を延ばすことは、高齢化が進展する日本ではとても大切なんですね。

体重低下とフレイル

 中年期には「メタボ予防」として、体重を増やさないために食べ過ぎを控えますよね。でも、高齢期なると、180度転換して、体重を減らさないためにしっかり食べる「フレイル予防」に切り替える必要があるんです。
 高齢期になると、食べるための様々な機能が衰え、食欲が低下するため、低栄養の状態になり体重が減少します。すると骨や筋肉も衰え、運動量が低下し、さらに低栄養状態になるという「フレイルの負のスパイラル」に入ってしまいます。
 そうならないためにも、体重をはじめ自分の心身の状態の変化に気づき、適切なタイミングでメタボ予防からフレイル予防に切り替えることが大切なんだそうです。

しっかり食べて「貯筋」しよう

様々な食品をバランスよく

 続いて、フレイルを予防するための食生活についてお話がありました。
 まずは筋肉を減らさないこと。そのためには、ご飯などの主食を減らさないことと、十分なたんぱく質(肉・魚・大豆製品・乳製品)を摂ってコツコツ「貯筋」をすること。さらにバランスの良い様々な食品を摂ることが大切です。その具体例や工夫についていろいろ紹介していただきました。
 もちろん、食べるだけでは「貯筋」はできません。散歩やウォーキングなど無理のない運動を行うことも大切です。


 講座の最後、先生が紹介された言葉が印象に残りました。
 「食べることは生きること」
 いつまでも自分らしい人生を楽しむためにも、日々の食事をもっと大切に考え、楽しく食べたい、と思いました。

参加された方の声

 最後に、アンケートでいただいた感想をご紹介します。

  • 筋肉が重要であるということが明確になってよかった。1日3食取ることがとても大事だと思った。

  • フレイル予防は、老後に向かっていく生活で重要だと知った。多様性のある食事、運動することも、バランス良く生きていくことはむずかしいと思いましたが、これを知るか知らないかでは今後がかなり違うと思います。

  • 今回お話を聞いていて、「慣れ」になっている点に気づかされました。QOLを改めて頭に入れて、食べて動いてをしていこうと思います。

 驚いたのは、高齢の方だけでなく、若い方も参加されていたことです。こうした健康講座に参加することで、世代を問わず健康を意識するきっかけになれば素晴らしいですね。

(文:新井)

この講座の様子は東京聖栄大学のサイトでも紹介されています。
また、令和5年度に行った「健康栄養講座」の記事もご覧ください。