「首都直下地震から命を守るために~さぁ備えよう!大地震の前に~」
私たちの暮らす日本は世界有数の地震大国であり、常に地震と隣り合わせで生きてきました。いつ起きるか分からない大震災から自分を、そして大切な人を守るための備えを学ぶために、「首都直下地震から命を守るために~さぁ備えよう!大地震の前に~」を令和5年3月4日(土)に開催いたしました。今回は講師の方を2人お招きし、第1・2部を講師による講演、第3部を参加者同士のグループトークという形で進めました。
なお、本講座は「かつしか区民大学区民運営委員会」の企画・運営で実施しました。
第1部 命を守るための備えと行動
第1部は東日本大震災・原子力災害 伝承館常任研究員や株式会社いのちとぶんか社取締役を務め、防災士でもある葛西優香さんにご講演いただきました。
葛西さんの講演では、災害への備えとして、個人の防災対応力の強化(自助)と地域の助け合いの重要性(共助)が強いメッセージとして発せられました。
日本では、災害時には自衛隊やレスキュー部隊が助けてくれる(公助)という考え方が根強いものの、大前提として自分で自分を守ることが当たり前であるということが、3つの震災で実際に起きたことを交えて語られました。
最初に触れられた阪神・淡路大震災は葛西さん自身の経験に基づいており、その語りはとても生々しく、熱のこもったもので、講演を聴いているだけでも緊張するほどでした。また、震災時の負傷の原因の大半は家具転倒によるものということで、いかに日ごろからの備えが重要であるかということが伝わってきました。
東北地方太平洋沖地震については、経験者の方のお話をご紹介いただきました。津波が迫り、時間的な猶予がない中で、「ここは大丈夫」という思い込みは捨てて、念のために避難すること、とにかく「生き延びる」ことを第一に考えた行動をとることの重要性が語られました。
大阪北部地震についても、経験者の方のお話でしたが、阪神淡路大震災を受けても、「もう来ないだろう」という意識や、ハード面の整備不足があったということで、改めて災害への備えを徹底する必要性を認識されたということでした。
講演の途中には、災害時非常持ち出し品のチェックリストを使い、参加者自身が何を予め備えておくべきかを考える時間もあり、他人事ではなく、一人ひとりが災害への備えを充実させる第一歩となりました。
第2部 首都直下地震と葛飾区の防災対策
第2部は、葛飾区地域振興部 危機管理課 災害対策係長の筒井敬英さんにご講演いただきました。
首都直下地震については、昨年、10年ぶりに東京都の新たな被害想定が公開されました。葛飾区については、特に影響が大きいと考えられるのは、「都心南部直下地震」と「都心東部直下地震」です¹。
このうち、今回被害想定が更新されたのは「都心南部直下地震」で、建物の被害棟数など、数字だけで見ると、被害規模が縮小しているように思えるのですが、実際にはここ10年間のライフスタイルの変化(例. ガスストーブではなくエアコンを使う家庭が増えたなど)が大きい要因であり、防災対策についてはまだまだ油断はできないとのことでした。
※1 首都直下地震の被害想定については、下記URLの内閣府防災情報のペ
ージに概要が掲載されています。https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h25/74/special_01.html
そして首都直下地震が起きた時の葛飾区の被害想定では、死亡やケガの原因として最も多いのは、建物の倒壊や家具の転倒による窒息・圧死であり、実に77%を占めていました。そのため、家具の転倒防止は震災対策として重要ということでした。ただし転倒防止の金具などは、正しい方法で取り付けないと効果を発揮しないため、区で行っている家具転倒防止器具取付け支援を利用することが進められていました。
なお、当該の支援については、下記からご確認いただけます。
避難生活への備えについても、大切なポイントをいくつかお話いただきました。水や食料の備蓄については、意識しすぎて備蓄疲れを起こさないために、普段の生活でレトルト食品などを少し多めに購入して、消費した分を買い足す「ローリングストック」という方法が紹介されました。また、避難所では共同のトイレを使用したくないがために飲食の量を減らしてしまい、その結果栄養バランスが乱れて体調を崩す、ということがあるそうです。そうした事態を避けるため、簡易トイレの備蓄もおすすめされていました。
第3部 グループトーク
講師お二人の講義後は8人程度のグループに分かれて、参加者同士のグループトークを行いました。
グループトークは、区民運営委員が進行役となり、自己紹介や講座の感想、震災対策について各自で考えていることなど、幅広くざっくばらんにお話いただきました。
トーク後は、各グループの代表者が発表を行いました。グループごとに関心のあるテーマも様々で、いろいろな考え方を聴くことのできる良い機会になりました。
参加者からの質問と回答
講座当日は会場にご参加の皆様から、たくさんのご質問をいただきました。
両講師からご回答をいただきましたので、対応する質問とともに掲載させていただきます。なお、質問数が多いため、下記PDFをダウンロードしてご覧ください。
まとめ
今回の講座では震災対策について、様々な角度から学ぶことができました。地震はいつやってくるかわかりません。そして災害が発生した時、第一に自分の身を守れるのは自分自身です。だからこそ日ごろから各々が災害への備えを欠かさず、災害を意識しておくことがとても重要だということがわかりました。
今回ご講演いただいた講師の葛西さん、筒井さん、そして講座にご参加いただいた皆様に改めて深く感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
文 濱田