遊びのパートナー講座「子どもと大人の遊び合い 面白がる心を呼び覚ます」
「遊び」と聞いて読者の皆様は何を思い浮かべますか?
トランプ、野球、サッカー、テレビゲーム?色々な遊びがあるかもしれませんが、今回の講座ではもっと幅広く、型にはまらずに、実際に参加者として体験しながら「あそび」と、「あそび」を通しての子どもと大人のかかわり合いを考えていきました。
本講座は、葛飾区内で活動する団体「あそぼ★かつしか」との共催で、全3回にわたって開催しました。
10月9日 響関者としてのかかわりを学ぼう
第1回の講座は大人の参加者のみで、子どもとのかかわり合いについて学びました。
講師を務めてくださったのは、表現活動クリエーターや聖心女子大学非常勤講師としてご活躍中の北島尚志さんです。子どもと正面から向き合ってかかわることについて、とても楽しく、そして熱く語っていただきました。
しかし、ただ講師の話を聞いているだけでは遊び心は理解できません。そこで、参加者の皆さんで色々な遊びをして心をほぐしました。
グループでお題に合わせたモノになりきったり、グループごとに指定された任務をこなしながら、ほかのグループの任務を推理したり、五感を使って楽しみました。
筆者も参加したのですが、遊びあうことは意外にも簡単ではありませんでした。大人になると、純粋に面白がる気持ちを押し殺して生きていかなければいけない部分もあるからでしょうか、慣れないことになかなかスッと身体が動きません。
でも不思議なことに、だんだんと皆さんといっしょに楽しむことができるようになっていきました。それは、この講座では参加している人全員が予想外のことを受け入れ、初対面の人であってもかかわり合うものとして反応し、自分の感覚に正直でいられるからだと感じました。
そして子どもとのかかわり合いでも、そうした姿勢が大切だということを学ぶことができました。
11月13日 子どもと大人の遊び合い 忍者修行
そして第2回はいよいよ本講座一番の目玉、「忍者修行」を行いました。
当日は、午前と午後の2回に分けて、小学1・2年生、3・4年生の子どもたちが参加してくれました。
忍者修行は、まず忍者になりきるところからスタート。子どもたちも風呂敷で顔を隠し、忍びの恰好になります。何が始まるのかワクワクしている子どもたちの前に、大人忍者が登場し、忍者とは何かを説明しながら風呂敷を使った見事なパフォーマンスを披露。そして満を持して、北島さん扮する忍者のお頭が登場、修行内容が伝えられ、その舞台である亀有ゆうろーどへ出発です。
今回の修行はなんと2つの試練を乗り越えなければいけません。
まずは各グループに渡された写真をヒントに秘密の指令書を持った人を探しました。実は、なんとこの日のために、亀有ゆうろーどのお店の方たちが、指令書を渡す役目を受けてくださっていました。ご協力いただいた皆様には本当にありがとうございました。
指令書を持った人かどうかは合言葉で確かめました(合言葉は、ヒミツです!)。受け取った指令書には、商店街の中で探すもののヒントが書いてありました。筆者も参加したグループでは「あやしいもの」というヒントでした。
さて、皆さんは町中で「あやしいもの」を探せ、と言われたらどんなものを想像しますか。なんだか難しいものを考えてしまうのではないでしょうか。でも、道端に落ちている空き缶、穴のあいた三角コーン、ただの落ち葉だってあやしいと言われれば、「あやしいもの」なんです。大切なのは、誰かがあやしいと思ったその感情に”響関”するということなんですね。そうすることで、大人になって失ってしまったものの見方を思い出せるのではないでしょうか。
亀有ゆうろーど仲町商店街での修行が終わった後は、大人と子どもの真剣勝負「チャンバラ合戦」です。新聞紙の剣でお互いのチームの旗の争奪戦が繰り広げられました。結果は子どもチームの大勝利。大人チームも本気で勝とうとしていたのですが、あえなく敗北。でもとっても清々しい気持ちになりました。
11月23日 「まちをあそぶ」ってこれだ。確かめ合う。
白熱した「忍者修行」から2週間、興奮冷めやらぬ中、今回の講座の振り返りを行いました。第1回と同じく参加者との「あそび」でスタートしました。北島さんから「頭の体操」と称して出されるお題の嵐!でも皆さんもすっかり慣れたもの。面白がる心が身についたようです。
全3回のまとめとして、北島さんが、各グループから出た意見にコメントしながら、”響関者”としての心構えについて話してくださいました。
ご参加いただいた方の声
ここで、今回の講座にご参加いただいた方のアンケートから、感想の一部をご紹介いたします。
子どもと一緒にワクワクする忍者修行 楽しくて楽しくてやめられません。ずーっとかつしかで活動していきたいです。
子供として参加できて、子供たちとはしゃげたことがとても楽しかった こういう機会があれば毎回参加したい。
とても楽しかったです。正解や勝ち負けのない、あいまいで想像力を必要とするあそびは、自分たち大人にとってもはっとさせられるものばかりでした。子どもたちの楽しそうな表情も印象的でした。ありがとうございました。
こちらが笑顔にさせてもらいました。ありがとうございました!!
普段体験できないことを子どもたちと一緒に体験できたことがとてもよかったです。ありがとうございました。
おわりに
私たちの普段の生活で、感じたこと、思ったことをそのままに口に出して受け入れられる場面はそう多くはありません。そうしたことに慣れていると、子どもの正直な気持ちを上手く受け止めてあげることもできなくなってしまうのです。今回の講座は、大人も子どもも自分の感情に正直になり、そして互いを受け入れる、そんな素敵な体験ができました。
今回講師をお務めいただいた北島さん、忍者修行にご協力いただいた亀有ゆうろーどの店舗の皆様、参加者の皆様に改めて感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
文 濱田