かつしかの伝統工芸 手描友禅「友禅タペストリー教室」
友禅染は、江戸時代の享保年間(1684~1687)に京都の絵師、宮崎友禅斉の創始と伝えられています。江戸で友禅染が盛んになるのは、文化・文政期(1804~1827)の頃。大名のお抱え絵師等が、多く移り住み、各種の技法が継承されました。
東京手描友禅は、構想図案から、下絵、友禅挿し、仕上げまでの工程が作者の一貫作業であり、落ち着いた色彩とシンプルで繊細な柄に特徴があります。(葛飾区伝統産業職人会HPより)
葛飾区伝統産業職人会のHPは下記URLからアクセスできます。
https://www.syokuninkai.com/
本講座は、令和4年6月8日から6月22日にかけての毎週水曜日に葛飾区伝統産業館で実施しました。
講師にお招きしたのは、葛飾区認定伝統工芸士の兵藤修先生です。兵藤先生のご指導はとても分かりやすく、慣れない作業で戸惑ってしまった参加者の方の質問にも気さくに答えてくださり、皆さん素晴らしい作品を完成することができました。
6月8日「糊置」
講座初日の6月8日は「糊置」という作業を中心に行いました。
本来の友禅の工程では糊置の前に、描く図案を作成し、それを湯通しされた布地に青花液で描き写すという作業がありますが、今回は兵藤先生に全員分の図案を布地に描き写していただいていました。
今回の図案は、実際に着物に使われている絵柄を基に、兵藤先生がスケッチされたものです。
参加者の方は、この布地に描かれた下絵の上に筒紙で糊を置いていきました。筒紙は先端の絞り口に「先金」という金属製のものが取り付けられており、糊を絞り出すことができるようになっています(ケーキにクリームをデコレーションする作業に似ています)。
6月15日「色挿し」
第2回は、第1回で糊置した布の上から、筆で染料を塗っていく「色挿し」という作業を行いました。
布地一枚、そして全て同じ絵柄ではありますが、参加者の皆さんは、どのような仕上がりになるかということをとても真剣に考えて、2時間たっぷり使って作業をしていました。色挿しの終わった布は同じ絵柄とは思えないくらい個性のあふれるものになっていました。
6月22日「水元」
第3回は布地を水に浸して糊を落とす作業「水元」を行いました。水元を行うことにより、単に糊が落ちるだけでなく、色も落ち着きます。また、水に少量の酢酸を加えることでより綺麗に仕上がるのだそうです。
水元を終えた後、布地を乾かしてから、柄を魅き立てるための金線を加えて完成となりました。実際には、これら全3回の講座の間にも必要な作業がいくつもありました。今回は友禅の工程の流れを体験してもらうために、そうした途中の作業は兵藤先生がご厚意で行ってくださいました。
兵藤先生、本当にありがとうございました!
参加者からの声
参加された方からは「伝統的な技術を体験できた」、「とてもたくさんの工程があって大変でしたが色々知ることができて勉強になった」、「作品が完成したので達成感があった」といったお声をいただきました。
友禅の工程は繊細で難しい内容も多かったようですが、それ以上に皆さんが真剣に、そして楽しんで取り組んでいた様子が印象的でした。
秋の伝統工芸講座について
「かつしかの伝統工芸」講座は年に2回開催しています。
次回は11月頃に開催予定です。今後、広報かつしかや葛飾区ホームページなどで参加者を募集しますので、ぜひご応募ください!
(文:濱田)