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点字体験 ①視覚障害者の生活を知る

令和6年7月26日(金曜日)、東京都立葛飾盲学校で公開講座「点字体験~点字の基礎を学び、点字を使ってみよう~」が行われました。
この講座は、かつしか区民大学の単位認定講座でもあります。
その内容を3回に分けてご紹介します。

視覚障害者の生活

講座の最初は、葛飾盲学校で音楽を教えている山崎先生による「視覚障害者の生活」というテーマでのお話でした。


子どものころからだんだん小さな字が読めなくなり、将来の自立のことを考えて中学から盲学校に通い始めました。

今は濃い霧の中にいるような感じです。
文字は読めず、色はわかるけれど、形はなんとなくしかわかりません。
人の位置は声で判別し、それが誰なのかも声で判別します。
点字や、スマホの読み上げ機能などを使って生活しています。

「便利だけど、惜しい!」配慮

さて、そんな生活の中で「便利だけど、惜しい!」と感じるものがいろいろあります。

例えばスーパーで。シャンプーとボディソープは刻印で区別できるし、牛乳も紙パックの切り欠きでほかの飲料と区別できるようになっています。でも、一番肝心な値段はわかりません。

駅では音声で男子トイレや女子トイレの位置を教えてくれるようになりました。でも、その中のレイアウトまでは教えてくれません。

点字ブロックもありがたいです。でも、どこへ連れていかれるのかはわかりません。

スマホの音声ナビは便利ですが、「北に進みます」「角を曲がります」と言われてもわかりません。

最近は、ファミレスに行けなくなりました。入口に店員がいなく、タッチパネルを操作しなければならないからです。
スーパーもセルフレジが増えて使いにくくなりました。

電車内で白杖を見て、無言でさっと席を譲ってくれる方がいます。とてもありがたいのですが、譲られた事も、どの席なのかもわかりません。

道案内をしてくれるのもありがたいのですが、「こっち」「あっち」ではなく、左右何m、何歩、何時の方向、とか具体的に言ってほしいです。

何よりもありがたいのは…

それでも、視覚障害者にとってありがたい配慮は増えてきました。

何よりもありがたいのは、皆さんが「目を貸してくれる」ことです。
視覚情報を言葉で伝えてくれて、目が必要なところをサポートしてくれるのは本当に助かります。
今ではLINEなどを使って、遠隔で「目を借りる」こともできるようになりましたが、リアルタイムの情報が欲しいし、その場で「目を貸して」いただけると助かります。

インターネットで「視覚障害者が嬉しいと感じた配慮」と検索すると、いろいろな情報があるのでぜひ読んでみてください。


先生のお話はとても上手で、みんな引き込まれていました。

印象に残ったのは「目を貸す」という表現。
これまで、視覚障害者のお手伝いというと、難しく考えて身構えてしまっていたのですが、「目を貸せばいいんだ」と考えると気が楽になり、機会があったら必要な方に目を貸してみようかな、と思うようになりました。

また、休憩時間に、電車の英語放送を披露してくださいました。
「The next station is Kita-Senju, JJ05. The doors on the left side will open. Please change here for the Joban Line Local Service, the Tobu Skytree Line, the Chiyoda Subway Line, and the Tsukuba Express Line.」

声をお伝えできないのが残念ですが、たぶん、鉄道マニアもネイティブスピーカーも文句のつけどころのない完璧さ!

同時に、それくらい身の回りの音や言葉にとても気を配りながら暮らしているんだなと感じました。

(文:新井)