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かつしか区民大学『司法書士が教える相続の知識』

皆さんは「相続」と聞いて何を思い浮かべますか。自分にはまだ関係がなさそう、なんだか難しそう、といったイメージをお持ちかもしれません。ですが、いざという時に備えて正しい知識を持つことはとても大切なことです。今回は9月10日と10月1日に2回連続講座で実施した、『司法書士が教える相続の知識』をご紹介いたします。

9月10日(土)司法書士が教える相続の知識

本講座で講師としてご講演いただいたのは、東京公共嘱託登記司法書士協会所属司法書士の木村拓キムラ タク先生です。見やすい資料と丁寧な解説でとても分かりやすく講義をしていただきました。

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講座では、まず相続についての基礎知識を学びました。一言で表すと相続とは、死亡した人の財産を身内の人が引き継ぐことです。ただし、ポイントは現金や土地・建物といったプラスのものもあれば、借金や税金などの相続人にとってマイナスになるものもあるということです。

実際に相続が発生した時の相続人は、被相続人の子ども、親、兄弟姉妹の順番になっています。被相続人よりも先に、相続人が亡くなっている場合は、下の世代の人が相続人となります(代襲相続)。ただし、配偶者は存命であれば必ず相続人となれるのです。

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講座では、相続についてクイズ形式で具体的なケースを学びました。
ここでは、その一つをご紹介いたします。皆さんもチャレンジしてみてください。
以下の図で相続人が誰になるかをお考え下さい。なお、×印は既に亡くなっていることを表しています。(答えはこの記事の終わりに掲載しています)

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相続順位では、単に相続の順番だけではなく、財産の相続分の割合も決まっています。これを法定相続分といいます。子どもや親、兄弟姉妹は後順位の相続になるほど相続分の比率が下がり、逆に配偶者の相続分は上がっていきます。

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相続人にとってマイナスとなる財産(借金)が多い場合などは、相続人は相続放棄をすることができます。ただし、相続放棄をすると相続人は初めから相続人でなかったことになるため、代襲相続も発生しません。(被相続人の子が相続放棄をした場合、孫には代襲相続しません。)

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講座では、他にも遺言や遺産分割協議など、相続にまつわる様々な制度についての解説がありました。来年の2月にも同内容の講座を予定していますので、ご関心のある方はぜひご参加ください。

10月1日(土)質問への回答と個別相談

10月1日は2部制で実施しました。前半は9月10日の講義を受けた受講者からの質問に対する回答を行っていただき、後半は希望者対象の個別相談を行いました。

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ここでは、前半の質問と回答の一部をご紹介します。

Q1.そもそも「登記」が何なのかわからない。
A1.「登録制度」の一種です。法務局で扱っている登録のことを特に『登記』と呼んでいます。

Q2.遺言書があっても、遺言書どおりに相続したくない場合、相続人らの合意があれば、遺言書の内容とは異なった相続方法は可能か?
A2.相続人全員で合意(遺産分割協議)すれば、遺言書の内容とは異なる内容で相続することが可能です。
   
Q3.代襲相続についてもう少し分かりやすく説明してほしい。
 例)前妻の子どもには代襲相続がいくのか否か?後妻のみいくのか?
A3.被相続人に子供がいる場合、子供は代襲相続人にはなり得ません。
なぜなら、子供は第一順位の相続人だからです。
第一順位の相続で代襲相続人となるのは、被相続人から見て孫から下の世代です。(「相続人」と「代襲相続人」は、異なる概念です。)

Q4.専門家への相談は、1回につきどれくらいの相談料がかかるか?
A4.事務所によってまちまちです。相談先の事務所へ電話で尋ねていただくか、ホームページをご参照ください。

後半は、木村先生をはじめ、ベテランの司法書士の方々による受講者の個別相談を実施いたしました。
受講者の皆様からは、「具体例を出して話してくださりわかりやすかった」、「色々詳しく教えてもらいこれから対応していける」などのご感想をいただきました。

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まとめ

今回の講座では相続について様々なことを教えていただきましたが、実際には個別のケースは複雑ですので、やはり困ったら専門家に相談するのが一番です。
先にも触れましたが、令和5年2月にも同内容の講座を開催予定です。ご関心のある方は、ぜひご参加ください。
今回ご講演いただいた木村先生、個別相談をご担当いただいた司法書士会の方々、講座にご参加いただいた皆様、そして本記事をお読みいただいた皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


最後に、相続順位のクイズの答えを掲載します。被相続人の子と父が亡くなっていますが、母が存命なので、相続順位2位の親である母と配偶者である妻が相続人となります。

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文 濱田

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