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でんぷんが固まる不思議 ―くずきりフルーツあんみつ―

夏休みに親子向け講座として開催した「東京聖栄大学連携講座2022 調理の科学シリーズ ぷるぷる・とろとろ固まる不思議 ―夏のひんやりデザート―」では、東京聖栄大学の先生方が、小学生にもわかりやすく「調理の科学」について教えてくださいました。

今回は、第5回「でんぷんが固まる不思議」(8月9日)の講座の様子をご紹介します。講師は、東京聖栄大学 健康栄養学部 食品学科 准教授の福留奈美 先生です。

1.でんぷんって何だろう

全5回のぷるぷる・とろとろ固まる不思議もいよいよ最終回!今回は「でんぷん」の固まる不思議に迫ります。
ですが、「でんぷん」と言われてもいまいちピンとこないですよね。そんな私たちのために、先生ははじめにでんぷんが使われている食べ物の例として、くずきりやわらび餅の写真を見せてくれました。

さて、それではでんぷんはどこにあるのでしょうか。先生のお話によるとどうやら植物の成分のようです。私たちが身近に食べている、お米やイモ、とうもろこし、小麦など様々なものにでんぷんが含まれているのです!

講座では、様々な原料からとれたでんぷんを粉にした、「でんぷん粉」を使いました。さらに、でんぷん粉を水に溶いて加熱すると糊化|《コカ》(のりのように粘りがある状態)します。こうなるとくずきりやわらび餅などの見た目に近くなってきた感じがしますね。

でんぷんの粉(写真下)とそれを糊化コカさせたもの(写真上)です。

2.くずきりフルーツあんみつを作ろう!

でんぷんについて勉強したところで、いよいよ今回のメイン「くずきりフルーツあんみつ」を作ります。

作り方はとっても簡単、お鍋でお湯を沸かしながら、でんぷんを水と型に入れてゴムベラなどでよく溶きます。この時、水はでんぷんの3倍の量を使います。

でんぷんがよく溶けたら、型ごとお湯の入ったお鍋にいれて1分ほど加熱します(型は熱くなるので、ペンチなどでつかんで入れます)。
全体的に固まってきたところで、型の中にもお湯を入れて静かに30秒ほど加熱します。全体的に透明になったらお湯を捨てて、型を氷水につけて冷やします。

水溶きでんぷん粉を型ごと熱している様子です。

そして、ゴムベラなどを使って、糊化したでんぷんをはがします。ペロンとめくれてこれがなかなかに気持ちいいのです!

仕上げに、糊化でんぷんを食べやすい大きさに切って、フルーツやあんこを添えて、黒蜜をかけたら完成です。

完成したあんみつです!う~んデリシャス!

そして実際に食べてみると、アラ不思議!同じでんぷんなのに、原料によって見た目(色や透明度など)はもちろん、食感(かたさや歯ごたえなど)や味もずいぶん違うのです。
実際には、こうした特徴を生かしてどのような料理にするのかを決めていくんですね!

3.受講者のご感想

自分たちでつくったフルーツあんみつを食べて、みなさん大満足のご様子でしたが、実際にアンケートでお寄せいただいた感想の一部をご紹介いたします。

  • 何種類ものでんぷんの違いを知れたことが良かったです。

  • 生活で使用する材料を利用することで身近な化学を考えることができた。

  • 自分でくずきりを作ったり、盛りつけも全部自分でやったからとても楽しかった。

  • くずもちを作るときに固まるところが面白かったです。

  • 料理をあまりしないので、簡単に作れて、とても楽しかったです。

4.おわりに

身近な食べ物に含まれている「でんぷん」がこんなにも種類がたくさんあり、そしてそれぞれ違った特徴を持っていることを勉強できました。
そして、何より自分で「作って」、「食べる」ことでより深く理解し、実感できたのではないでしょうか。

「東京聖栄大学連携講座2022 調理の科学シリーズ ぷるぷる・とろとろ固まる不思議 ―夏のひんやりデザート―」の紹介・報告記事は以上となります。全5回の記事をお読みいただきありがとうございました!

(文・濱田)

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