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児童相談所と虐待~地域で「わたしたち」ができること~

令和5年10月1日、葛飾区児童相談所が開設しました。地域で暮らしている子どもたちは、その地域全体で守り、健やかに過ごせる環境を整えていかなければなりません。
昨今、時代の流れによる家庭環境の変化や、貧困、ネグレクトなど様々な要因から子どもたちが厳しい状況に置かれることもあり、ますます地域で子どもたちをケアしていく重要性が増しているのではないでしょうか。
そうした中、今回のかつしか区民大学では『児童相談所と虐待~地域で「わたしたち」ができること~』と題し、講演とグループトークを行いました。

なお、本講座は「かつしか子ども・若者応援ネットワーク」(以下、「子若ネット」とする)との協働で開催いたしました。
子若ネットの詳細については、下記HPからご覧いただけます。


講義~児童相談所職員から~

前半は、葛飾区児童相談所の職員から、児童相談所の概要や仕組みについての講義を行いました。
最初に講義をおこなったのは、葛飾区児童相談部児童相談課長の森孝行(もり たかゆき)さんです。森課長からは、新設された児童相談所のパンフレットを基に、そもそも児童相談所とは何かということや、基礎自治体である葛飾区における児童相談所設置の意義、業務内容などについてお話いただきました。
講義の資料として使用したパンフレットは下記児童相談所のHPからご覧いただくことができます。

続いて、葛飾区児童相談部児童保護担当課長の中林貴紀(なかばやし たかのり)さんから講義がありました。中林課長の講義では、具体的な一時保護等の相談援助活動の流れについて、根拠法令等の説明も交えながらお話いただきました。
さらに、児童相談所だけではなく、子ども総合センターとの連携については葛飾区児童相談部子ども家庭支援課長の富里友季子(とみさと ゆきこ)さんからも解説がありました。
一般の方にとっては、両者の違いや、どちらに相談してよいかということが分からないかもしれません。しかしそのために、児童虐待等の疑いがある場合の相談(通告)についてはその緊急性の有無などによって、ふさわしい対応が取れる方に送致あるいは通知することとなっているということでした。

グループトーク~地域で「わたしたち」ができること

前半の講義を受けて、後半はグループトークを行いました。
グループトークのコーディネーターを務めたのは、弁護士の佐藤力(さとう つとむ)さんです。
佐藤さんからは、はじめにトークのきっかけとなる話題提供がありました。その中でも印象に残っているのは、「専門家にできること」についてのお話です。学校、警察、医師、弁護士などの専門職は、「現在」の児童の問題に対応することはできるが、「未来・将来」の支援については地域の人々が担っていかなければならないという言葉に、会場の方たちも共感している様子でした。

その後のグループトークも各テーブルで多様な意見が交わされていました。参加された方も様々で、保育関係の仕事をされている方や、地域でボランティアをされている方など、それぞれの立場からのお話を聞くことができました。
そして、トークで出された意見の中で、「おせっかい」をためらわないようにする、というものが多くありました。子どもたちの様子がおかしいことに気づけるように普段から、関わりを持っておく、いざ異変に気づいたら通告できるように心構えをしておく、といったことが大切なのではないか、という話が出ていました。

さらにトークの最後には、グループごとに質問事項をまとめ、講師との質疑応答も行いました。
当日の質問および回答は下記PDFファイルにまとめられていますので、関心のある方はご覧ください。

参加された方の声

ここで、本講座に参加された方のアンケートから、いただいたお声の一部をご紹介いたします。

・児相を身近に感じることができました。法についても触れていただき、学びになりました。
・現在の児童に関わる問題をどう対処されているかを知ることができ、今後に生かしていきたいと思います。
・児相の方々とお顔を合わせられ、お話を伺え安心、信頼できました。
・以前の講座で聞いたことより、さらに深く児相について知ることができた。虐待当事者、若者の体験や当事者の居場所をつくりたいという前向きな考え方に繋がれたらいいなと思った。

おわりに

今回の講座に参加して、少しでも地域の子どもたちへの関心を高め、児童相談所や子ども総合センターなどの子どもたちを支えるシステムへの理解が深まっていくことができれば何よりですが、そこから先に何ができるかなど、まだまだ考えていかなければならないことがたくさんあります。
その意味では、今回の講座は、これからの子どもたちへの支援につながるきっかけの一つなのだと思います。
そして本講座は、様々な関係機関との連携により開催することができました。子どもたちを支えていくうえで、「協働・連携」が大切であるということも改めて感じました。

最後に、本講座に参加された皆様、開催にあたりご協力いただいた関係者の皆様に深く御礼申し上げます。
本当にありがとうございました。

文 濱田


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