かつしか区民大学特別講演会「性と生き方の多様性~性は人と同じじゃなくってもいいんだよ~」
2023年2月23日(木)、葛飾区生涯学習課と、葛飾区内で活動する助産師の団体「NPO法人さんばはうす葛飾」との共催で、かつしか区民大学特別講演会『性と生き方の多様性 ~性は人と同じじゃなくってもいいんだよ~』を開催しました。
今回は、現役助産師であり、地元調布市を中心に性教育、LGBT教育に尽力されている棚木めぐみ先生をお招きし、「性の多様性」についてお話しいただきました。
「性の多様性」のいま
性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)の方の総称としては、「LGBT」という呼称が広く知られていますが、多様な性のあり方に合わせて、「LGBTQ」、さらには「LGBTQQIAAPPO2S…」と、年々細分化が進んでいるそう。従って、LGBTQ…以降のカテゴリーを「+」で表現する「LGBTQ+」が、最新かつフォーマルな呼称となっているとのことです。
頭文字の羅列では表しきれないほどに多様な性のあり方が存在すると知り、「性」とはたやすく区別できるものではないのだということに気づけました。
「性」ってなんだろう?
最近さまざまな場面で話題にのぼる「性」ですが、実は、いろいろな枠組みがあるそうです。
「どんな『生物学的性』を持って生まれてきたのか」、「持って生まれた『生物学的性』に違和感があるか、ないか」、「好きになるのは自分と違う性を持った相手か、同じ性を持った相手か」…。
このような枠組みに基づいて樹形図を描いてみると、「多数派(マジョリティ)」とされる「心の性と『生物学的性』が一致している(シスジェンダー)」かつ「好きになるのは、自分と違う性を持った相手(ヘテロセクシャル)」という組み合わせも、実はたくさんの組み合わせの中の1つに過ぎないということを実感し、ハッとさせられました。
また、筆者が深く納得したのは、「『性』についての議論で、相手と食い違いを感じるときは、話している『性』の枠組みが違っている可能性がある」という棚木先生のお話。
筆者も、「心の性」について会話していたはずが、いつの間にか「対外的に見える性(表現する性)」の話にすり替わってしまっていたり、「どんな相手を好きになるか(性的指向)」について話していたつもりが、議論が進むうちに「心の性」の話とごっちゃになってしまっていたりと、「あれ?」と違和感を覚えた経験がありますが、ここに原因があったとは。
「性」について語り合うときには、お互いがどの「性」を想定しているのか、理解しておくことが不可欠なんですね。
「性」とは、グラデーションのようなもの
さらに、特別講演会の企画段階で伺った「性とは、グラデーションのようなもの」という棚木先生の言葉が印象に残っていた筆者にとっては、あらゆる性のあり方を包括的に表す言葉=「SOGIESC(※)」と、マジョリティ・マイノリティ関係なく、すべての人に保障されるべき「SOGIESC」の権利についてのお話も、とても心に響くものでした。
「性」とは、グラデーションのように境界がなく、際限ない広がりを持つ多彩なもの。そう考えると、いかなる人も「性」のあり方による差別を受けることなく生きる権利があるというのは、ごく当たり前のことです。
多様で、ほかの誰とも少しずつ違っている私たちの「性」を、互いに尊重し合うことが大切ですね。
※「SOGIESC」…「ソジースク」または「ソジエスク」と読む。「性的指向(Sexual Orientation)」、「性自認(Gender Identity)」、「表現(Expression)」、「性的特徴(Sex Characteristics)」の頭文字をとったもの。
受講者の方の感想
講演を聞いた受講者の皆さんからは、こんな声が寄せられました。
講師の先生のお人柄やあたたかさが伝わってとてもよかったです。学校の先生などにもっとこの話を聞いて欲しいです。たくさんの子どもたちにも伝わって欲しいです。
「生きる」ということがいかに素晴らしいことか、「性」は多様だということが分かりました。でも、まだまだ課題があるテーマですね。
すばらしい講演をありがとうございました。思わず涙ぐんでしまいました。
本日は大変ありがとうございました。このような学びの場を設けてくださって感謝いたします。
SOGIESCの権利がおおやけの言い方だと分かり、よかったです。分かりやすいお話で、「性は人と違っていいんだよ」は大切にしたいと思いました。
性の多様性について、エピソードや体験談も交えながらわかりやすくお話しいただいたことで、理解が深まりましたね。
最後に、この場を借りて、棚木先生に深くお礼申し上げます。この度は、貴重なお話をありがとうございました!
(文・福山)